マメにブログを書くとなると報告することばかりもそうそうないので少し真面目な話でも。
主観と客観の話。
私は、若い頃は復讐のために小説を書いていました。
まあちょっとアレコレあって、義理の父親や母親や私を傷付けた男や裏切った女たちを非難するため、憎しみを作品にぶつけ、自分が救われるため、または同じ苦しみを持つ誰かと痛みを分かち合うために書いていたのです。
私は常に怒りを抱えていたと思う。
そもそも何かを表現する人間になりたいと思ったのはそのためで、この怒りと痛みを他人に知らしめられるなら漫画でも小説でも、歌手でも何でも良かった(実際漫画の持ち込みをしたり、バンドやって作詞なんかもしていました)。
コバルトでデビューできたのはちょうどその作風が、悩める思春期の女の子たちにぴったりだと選考委員の先生方が感じてくださったからだと思うのだけど、この時期はいかんせん自分のためにしか作品を見られないので大変視野が狭かった。
狭すぎて、結局自分の書きたいことしか書けなくてそれをきちんと仕事にするには厳しく、一度は挫折してしまいました。
それが官能小説(当時はケータイエロ小説)に出逢って、ただ単純に純粋に自分も楽しみながら読む人を楽しませるということを知ったんですね。
作品の視点が主観から客観に切り替わった瞬間だったと思う。
エロって本当に凄い。
誰もが読みたくて、感情を揺さぶられて心のみならず直接肉体にまで働きかけてしまうんですもの、本当に凄い。
まあ具体的に言うと、アクセス数がはんぱなかった。
コバルトで挫折した私は迷走しており、没原稿を魔法のiらんどで公開してみたりそこからケータイ詩界隈(そういう流行があったのだ)に足を踏み入れたりそこで男に入れ込んだり振られたりしていたのですが、たまたま見付けたケータイエロ小説の世界に「こっ、これだっ!!」と雷に打たれたような衝撃を受けました。
すぐにサイトを作ってみたら、まあアクセスの凄いこと凄いこと。
一日何千というアクセスは、無名の人間が小説をコンテンツにするには唯一エロでしか弾き出せない数字でした。
しかもエロ、楽しい。
他人が書いたのを読むのも、自分で書くのも、楽しくて気持ち良い。
感想やら次作品への要求もどんどん来るし、とにかくエロに対する人のパワーというのは男も女もはんぱないわ!ということを目に見えて肌で感じました。
そして思ったさ。
私の書いた小説でもしかしたら一日何百人とかの人がオナニーしてるかもしれないって、すっげえじゃんって。
じゃあ次にはもっと沢山の人にもっと気持ち良くなって欲しい!
ここで、作品は「わたし」から「だれか」のものになりました。
「私が満足するもので誰かを動かしたい」というちょっと傲慢な視点が、「誰か(の手)が動いちゃうものを書いて、その結果私が満足したい」に変わった。
そして小説を売り物にするためには、主観から客観への切り替えというのは大変重要なターニングポイントでした。
(別に売らない人は好きに主観的に書いたら良いと思います。他人様からお金を頂戴するからには相手のためにモノを作らなきゃいけないという、ごくごく単純明快で根源的な事実!)
そこからはまあいろいろあって、お陰さまでいまや立派な(でもないが、いちおうプロの)官能作家になることができました。
いまも昔みたいに怒りや憎しみを書き入れたりしてはいるんだけど、その感情に引き摺られすぎることはなくなってきたかなあと自分では思ってるけど、どうでしょう。
あと、エロは人を開放するよね。
明るくするよね。
今は結構復讐とかはどうでもよくて、もうちょっと前向きな姿勢で、あのときあのクソ野郎にされた仕打ちは絶対忘れないぜてめえこの野郎いつか書いてやんから見てろよ、と思っています。
(あんまり変わってない……)
というわけでそんな過去の復讐憚はこちら。
神様のいる場所
http://m-angelus.net/cabaretm1/ss/ss/kamisama.html足下の花(太宰治賞一次選考通過)
http://m-angelus.net/cabaretm1/ss/ss/hana.html■今日のミミ様
毛玉だらけになってきた……
未だにブラッシングはさせてくれませんが、私が毎日こねくり回しているせいでちょっと触られ慣れたようで母には毛玉を切るらせてくれるようになりました(毎日撫でてるのは私なのに、私が毛玉に切るのは怒る……)。
■CMだよ
女の秘蜜 妄想ノススメ 極 #2のゲストは金田淳子さん、現在放送中!
http://www.entermeitele.com/entertainment/mousou_kiwami.htmlオンエアスケジュール
#2
9月1(月)14:00-/ 3(水)16:00-/ 5(金)11:10-/ 7(日)25:00-/ 10(水)16:00-/ 15(月)14:00-/ 17(水)16:00-/ 19(金)11:10-/ 21(日)25:00-/ 22(月)6:00-/ 24(水)16:00-/ 29(月)14:00-
「美食の報酬」よろしくね。
「美食の報酬」(講談社文庫/深志美由紀/\530税別)
http://www.amazon.co.jp/dp/4062778912