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官能小説家、深志美由紀ブログ

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幸福論

若い頃、私が小説を書く上でのテーマは「男の理不尽さ」だった。



とにかく恋愛運が悪いというか男選びが悪かった私は、何かと「アレ」な男性とお付き合いすることが多く、「女たるものこうあるべきだ」という自分でも気付かない無意識の刷り込みがあったために随分と煮え湯を飲みました。


まあ簡単に言うと浮気されたりとかウソをつかれたりとかそういうことで、しかも自分でも「良い女」に対する間違った認識があったため言葉に出さず我慢して、我慢するうちに一年も一緒に居ると愛想も尽きてしまい、しかし男が居ないと不安ゆえ次の男を作ってから別れるという一番ダメなパターンで恋愛を繰り返していた。

(もちろん振られる場合以外でね)


どんなにダメ男でも本当に好きだったら一緒にいるだけでもある意味幸せだと思うんだけど、そもそもそこまで好きじゃないからダメなところが許せないのね。「自虐の詩」とか幸せだと思うもん。

いやあ、一番ダメなのは私だよって話です。



で、まあ、若い頃私が書いていたのは、そんな「男」に対する怒りでした。


もちろん自分の付き合った男を始め、父親、客、世間一般の男に対しての恨みつらみを創作にぶつけていた。

それは今思えば私が尊敬していた作家さんのやりくちを踏襲したものであり、女として精神的に自立するための儀式でもあったのだと思います。

男に対する怒りを言葉にすることによって、彼らを分析し、自分を分析し、自分の愚かさと起こったことへの客観的な視点を養っていったのだと、思う。




そんな感じで自分の怒りを書き殴って言葉にしていたら、ちょっとだけ男に対する見方が変わってきた。

まあ相変わらず男は憎いし大嫌いなんだけど、何より男を増長させるのは、一緒にいる女の態度なんだよなっていうことが解ったのね。


機嫌を損ねるのが怖いからイヤなこともイヤだって言わないで、この人は私がいないとだめなんだーとか言っちゃって、良い女を気取って全てを許してあげる。

それじゃあ相手も「これでいいんだ」って思うだろうし、どんどん悪い方向に進むよなあ。笑。

まあ言葉にすると簡単なんだけど、この意識の転換がまず難しいことだった。


で、実はそこでやりすぎて、今度は私ばかりが傍若無人になり、相手の言葉を聴くのを忘れちゃったってこともあるんですけどね。


とにかく、不愉快に感じたら話し合ってみる。で、そこでおかしいな、話が通じないなと思ったら相手をサクっと切り捨てるか、我慢してでも一緒にいたいほど愛しているのかを考えて、愛してるなら我慢する、我慢するなら愚痴らない。愚痴るくらいなら切る。というお付き合いをするように、心がけるようになりました。

ちなみになんで愚痴っちゃいけないかというと、愚痴ると不幸になるからよ。

我慢できるほど愛してるなら、幸せなはずだもん。

人に愚痴を言うことが目的になるようなさもしい恋愛を、私はしたくない。

これは誰にも言わずに一人で我慢しろっていう意味じゃなくって、不幸になるような我慢ならするなっていうことですけど。



かと言って私が完璧に目覚めていて今の夫が最良のパートナーかと言うとぜんっぜんそんなことはないんだけどね!!!!

いやあ、ほんと、次に何かあったらすぐにでも離婚しようと思っています、ええ。笑。

でもそう決めてるから、まあ、今のところ人様を笑わせられない愚痴は言わないで済んでるかな。と思うんだけどどうだろう。自信はない。自虐。

だけどよく考えると、今の夫は生まれて初めて、次の男を作らずに別れようと決心できた男なのだ。

これは、別れる為に他の男は必要ない、ということでもあって、まあ、バカ女の私なりにちょっとずつ前進しているのかな、と思わなくもない。無理矢理。

ちなみにならなんで今すぐ別れないのかというと、それはもちろんまだ愛が勝っているからだ。でも、その愛で乗り切れないほどの不幸を彼が持ってくるならば、別れるしかないと思っています。

私は幸せでいたいからね。自分が一番大切だもの。自らの不遇に酔いながら泣き暮らすのはごめんだ。





ともあれ私は今なんとか自由だし、幸せです。

男に与えてもらった幸せではないけどね。

パートナーは最良ではないけれど、少なくとも私の邪魔はしない。

(もちろん、できればお互い愛情を持って思いやるに越したことはないですよ)


こう考えると自由ってちょっと寂しいことだけど、でも、それは私が一番欲しかったものだから、これでいいのだ。




うーん本当は「次世代の良い男を作るような小説を書きたい」って書こうと思ったんだけど、ちょっとズレちゃった。

まああれだよ。今苦しい女の子が自由になれるような、そんな小説を書きたいです。っていうことか?な?






↓小説を置いたりしている本館でございます、よかったら!


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