「花と蛇」と奇人
団鬼六先生の、「花と蛇と奇人」読了です。
実は【官能小説】以外の団先生の小説やエッセイを読むのは初めてで、なんというかいろいろふくざつなアレがあって気安く感想を言うのは憚られるところなのですが、純粋に、実に、面白かった!
団先生が「花と蛇」を通して出会ったいろいろな性倒錯者とのエピソードを連ねた作品で、多分再発行されたものだと思うのですが、今読んでも驚いたり感心したり、この時代にいきたかったなあと羨ましく思ったりするすてきな本でした。
(鞄に入れている間に台風にあってちょっとふやけてしまいました……トホホ)
団先生というのは、性を通して「人間」を見詰めていらしたのだなあと思います。
私が団鬼六作品を今読みたくないと思うのは、本当は、団鬼六賞に応募する前にできるだけ読んでおくべきだったと思うからです。
そしてお会いできたあの一度の機会に、それをお話をしたかった。
あの時はまだ次にお会いできる機会があると、図々しくもそう思っていました。
でもそれができなかったのでもう読みたくない。なぜなら今から識れば必ず後悔するからと、そう思って今まで読めずにいたのでした。
やはり今私はとても後悔しています。
もっと若いうちにたくさん先生の作品を拝読して、幸運すぎるただ一度の機会を逃すべきじゃなかったと、正直涙が出ます。
でもこれからは読む。
今は一冊でも多く先生の遺した御本を読もうと思っています。
そのたびに、きっと後悔は深くなるでしょう。
悔しいなあ。
でも、この口惜しさからは逃げちゃだめだと、思うのです。
| もばいる | 16:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑