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官能小説家、深志美由紀ブログ

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あなたはあたしを解き放つ

私にとって創作とは愛情への飢餓からくるのではないか、と思う。



はっきり言って、私はあまり人と上手に付き合えない。


思春期の頃はがっつりオタク的コミュ障のケがあったし、空気も読めない、おまけに沈黙恐怖症とでも言うか、会話のタイミングがうまくつかめなくて……なんと表現したらいいかよくわからないんだけど、つまり、恥ずかしい人間でした。

休み時間にずっと机に座って漫画を描いていたらば、先生に親が呼び出しをくらい、「美由紀ちゃんは友達が少ないです」と注意されるような少女だったのだ。

ちなみに既に当時中学生。


自我の芽生えが遅かったのかもしれません。

ちなみに、友達が少ないです、と言われても全然平気なほど突き抜けているかというと決してそうではなく、そう思われているということが非常に恥ずかしくてそれから割と努力をしたのだけど、その努力が人に気持ち悪く思われているのではないかと毎晩布団の中で後悔するので余計始末が悪かった。


物心ついたときから、いわゆる「女の子のグループ」というやつでははぐってしまうタイプでした。

(ちなみに、私の女の子のグループというやつにたいする恨みは非常に深い。大人になってせいせいしたことのナンバーワンである)

中学生までは教室の中にがんじがらめで、外の世界をほとんど知らなかったのでこのシステムはとても辛かった。

いや、辛いというか、居辛いというか。

まあそういう子、多いと思うんですけどね。特にオタクなんかやってるとさ。

高校生になったら、友達なんかいなくても彼氏さえいればその相手だけしてれば人目を気にせず済んで助かった。


で、まあサボりサボり高校卒業して、二度と学校なんか行くもんかっと思ってフリーター生活が始まったんだけど、工場やらキャバクラやら、やっぱり女の人生、女の集団からは抜けられないんだなあ。

でも工場でランチの恐怖に怯えるよりは、キャバクラで「全員敵」と火花を散らしている方がまだやりやすかったです。

水商売なら他人と距離があって一人でも当たり前、席でだけは誰とでも笑いあうけど決して心は許さない。行き過ぎた喧嘩をしたらさっさと辞める。そうして警戒しあううちに、だんだん、本当に仲良くできる友達も出来ました。

分かりやすい実力勝負の水商売は、私の対人恐怖とコミュ障をある程度癒してくれたと思う。相当の荒療治だったけど。


あ、でも、前にうっかり、店内み~んなお友達、メール交換しましょ♪みたいなスナックに入っちゃったときは心底キツかったなあ。

「美由紀はどうして他の子ともっと連絡取り合ったりできないの?右下矢印(絵文字付き)」みたいにママに怒られたりして……中学生かっ!

なんでわざわざ水商売やってんのに女の子仲良しごっこしなきゃいけないんだよっ!みたいな。

あれはストレスだった……。つらい。



まあそんなわけで、小中高とあわせても、私には友達が片手で足りるほどしかいなかった。

女同士の付き合いと言うものが、いまいちよくわからなかったのです。

(後述の理由により、今はだいぶ改善されてるんだけど)


ちなみに、これは今でもそうなんだけど、男性との関わりは恋愛以外に知りません。

ので、気安く食事なんかに行ける男友達はほぼゼロに等しい。

仕事で付き合ったり皆で遊んだりする分にはいいけど、個人的に、二人きりで出かけたり酒を飲んだら、接客するか口説く以外にどうしていいか正直分からないのです。

だって男の人はかわいい女の子と一緒にいたらそれだけで楽しいものだと思うけど、私、ほんっとに、ぜんっぜん可愛くないんだもん。特に性格が。だからっつって、女捨てて一緒にいられるっていうタイプでもないし。

どうしていいかわかんないの、マジで。友達として遊ぶったって女友達自体と、なんもなしでサシで会うことだって滅多にしないんだよ!もうどうしたらいいんだか。

どーしょもないな(笑)。




そんなわけで、人付き合いが苦手で、人に愛される自信がまったくない、一緒にいて面白いと思ってもらえるか不安で不安でしょうがない、皆にどうしても愛されたい、必要とされたい、好きになってほしくてたまらない。

そんな20歳の私が、愛情を得る手段として手にしたのが創作でした。

とにかく面白いものを書けば、「みんな」に好きになってもらえるんじゃないかと思った。何か形を残せば、手にすることができれば、誰かを惹き付けるほど輝くことができれば、人に愛してもらえるんじゃないかなって。


これはとても陳腐だけれど、切実な願いだった。


そんな気持ちを怨念のように捏ね、詰めに詰めて、同じように生き辛い女の子たちに空気を吸ってほしくて、搾り出すように書いたのが「あなたはあたしを解き放つ」という小説でした。

これが初めての投稿で、今読み返すとまだまだ未熟な作品ですが、おかげさまでコバルトノベル大賞の佳作を受賞することができました。



私は小説を書くことで少しの自信を持つことができて、それから、人との付き合い方も随分変える事ができたんじゃないかなと思います。


友達はたくさんたくさん増えたけど、いつでも誰かと一緒じゃなきゃいけないっていうのが間違いだってこと、ほんとうの足場には自分ひとりで立つものだっていうことを覚えた。

人に寄り掛かってばかりの人とは、友達になりたくないもんね。


今でも、ときどき怖くなることがあります。

分不相応に、通りかかるすべての人に愛されたい、必要とされたい、どうしようもなく無償の愛を得たいと願ってしまうことがある。


残念ながらまだまだ悟りきれていない私は、泣いたり媚びたりする代わりに、陳腐で切実な、俗悪な願いを篭めてペンを握るのです。

あなたに愛して、もらえますように。





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