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官能小説家、深志美由紀ブログ

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芽吹いてもクレマチス

ふー、ひと段落。


というわけで、いよいよ、団鬼六賞優秀作受賞作品「花鳥籠」の原稿が私の手を離れました。

あとは野となれ山となれ――というわけで、何事もなければ、5月に本になる予定です。

何事もなければ……。


それにしてもこの大変なご時勢に、わたくしなんぞの原稿を一冊の本にしてくださるとは実にありがたいことであります。

喜びは尽きないけれど、あとは、無事に発売してからいろいろ書こう。

でないと一ヶ月待つ間、ひたすら感謝感激期待してしまいそうだ……。

ぶっちゃけ、何があるかわからん世の中だから、うれしいことはあまり期待しすぎないようにしているの……!いや震災とか関係なく、昔から。

あんまり喜びすぎたら反射して悪いことが起こりそうじゃないですか……え、ネガティブ?すいません。


でもこれって、なんとなく、日本人的思想だよなあと思ったり。

ネガティブっていうか、あんまり手放しで喜びすぎない、感情を表に出さないっていう感じね。

なんか、喜びすぎたらあとで悪いことが起きそうな気がするでしょ?


昔、椎名林檎さんの「茎」にある歌詞

「咲いても喜び過ぎないから」

っていうのが、すごく「ああー」って思えて感心したんですけど(椎名林檎さんの歌詞はたまにほんとにすごい)。



この、「喜んだあとの悪いこと」っていうのはもちろん、超常的な、反射フラグ的な側面もあるのですが

なんだろう……

喜ぶこと、感情を表に出すことが悪しきことであるっていう習慣的なものがまず一つありますよね。

あとはたぶん、ムラ的な「妬み」の文化が根強いからじゃないかな、とも思うんですけど。

ルサンチマンというやつね。

実際にそれが起こるか否かは別として、たぶん、日本人は「喜びすぎて人目に触れ、誰かに妬まれ悪意を持たれる」ことを根底でおそれている。

のではないかと、思ったり。


「群集から外れる」ことは悪いことなのです。

それは善悪ではなく、単純な損得勘定によって蓄積されて導かれた答えなんだと思う。

「飛び出すと妬まれて、攻撃されるよ、外されて損するよ」っていう。

これはたぶん昔のムラ社会ならほんとうに「外れたら生きていけない」ような損をしたわけで、生活の知恵というか、処世術としてしかたのないことだったんだと思います。



例えば今の過剰な娯楽自粛傾向にも通じるものがあることだと思うのですが、一人ひとりに聞くと、大体、「自粛なんてしなくていいのでは」って思ってるんだよね。

だけど、それが全体になると「自粛せよ」となる。これは群集のなかに、少なからず、「不謹慎である」と強く拒否感を持って、それを大きな声(しかし概ねこっそりと)で「上のほう」に伝える人たちがいるからなんだけど。

個人では「いいんじゃないかな」と思っていても、後ろ指差されることをおそれて先回りして「自粛(まさに自粛)」する。

日本って、そういう傾向があるよね。

表現規制とかもそうなのですが。

しかしこの、自粛を望むひとたちというのは決して悪いわけでなく、ただ善良なのだ。

ただただ、かなしいくらいに、誠実で善良なのです。




というわけで日本人が抑制が効いているのはただの生活の知恵ってやつなんだと思うんですけど、

これは自分の身を守るための知恵なので悪いことではないのだけども、そろそろ、感情の開放の時期が近付いているのではないかなあとも思います。

抑制は美徳でもあるし、それによって統制の保たれた社会は美しいけどさ。

それにこだわるあまり、他人を監視しつつ自分を抑えつけるなんてつらい。

もうちょっとだけ、善良にこだわることを緩めて自分の悪面を認めてみると、生きるの楽になりますよ。

(もちろん悪いことをしろってことじゃないよ。自分が善良であろうとありすぎると他人にも強く善良を求めてしまうということです)


私も感情を開放して、あれだ、本が出るのを手放しで喜んでやるっ!

この幸福は、誰かの不幸の上で成り立つものなんかではないからね!





というわけで、地元平塚の七夕祭り中止にはすんごくすんごく反対なんです。

自粛してどーすんのー。電力の問題か?発電機でしめやかに、なんとかならんのか?

現実の可不可以外の理由で自粛するなんて、かなしいよー。






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