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官能小説家、深志美由紀ブログ

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父性への飢餓とM性

父性への飢餓とM性について考える。




ところで私は自他共に認めるファザコンであります。


何でって理由ははっきりしているのだけど、私、父親がいないのね。
実父と母は私が生まれてすぐに離婚しており、結局一目も会うことのないまま、私が十八くらいの時に死んでしまったらしい。
私は父の声も聞いたことがないし、お墓も知らないのだ。どうやら異母兄弟がいるらしいんだけれども、もちろん会うこともないでしょう。

私が5歳くらいの時に母が再婚した養父を、私はこんにちまでお父さんと呼んできたのだけれども、結局のところ親子の情のようなものは結びきらなかったかなあと思う。
先日母は養父と熟年離婚したのですが、なんというか、こうなってしまうともしかしたらこの先私は一生養父と話すこともないかもしれないなあ、というくらいには縁が希薄な実感があります。

でもまあ、話すと長くなるんだけれども、まあ養父はたいへん困った人ではあったけれども(自己愛性人格障害だと思うのね)それは彼にとっての精一杯ではあったと思うし、私の性格上のこともあると思うし、どちらかが悪いとか、そういうことではないんですけれどもね。
実際の親子であってもそんな希薄な関係はいくらでもあると思うし、それこそ父親と言う存在のない家庭なんかごまんとあるわけで(ぶっちゃけ言うとその方が楽ではないかと思うこともしばしばでありましたが)彼が特別酷かったとかそういうことはないと思うのですが。でも愛はなかっただろうなあ。



まあ、つまり、私の中には父性がたいへんに希薄であったと思う。

自分の父性への飢餓というようなものは常に感じていて、卯月妙子さんの漫画なんかを読むと、異常な共感で涙が止まらないくらいなのであります。


若い頃は常に一回りくらい歳の離れた男性と交際していて、すぐにでも結婚したく、とにかく実家を出ることに固執していました。

恋人に父を求めていたのね。
私の知らないことをいろいろ知っていて、頼りがいがあって、愛してくれて、甘えられる。
そういう大人の男性がずっと好きで、でも父親を求めてしまうと性的な欲求はどんどん薄れていってしまうから、結局結婚には至らなかった。
具体的に言うと、肉体関係を結ぶことが苦痛になってしまうので。
これは不思議なもので、その人を信頼して安心すればするほど、セックスしたくないなって思ってしまっていたのです。
抱き合ってキスして触れ合って、いいこいいこして貰って眠りたいんだけど、どうしてもセックスに嫌悪感が沸いてきてしまう。

これって、つまり、私が完全に、その人を父親扱いしちゃってたからなんだよなあって、今なら分かります。


無償の愛が欲しかったのです。
可愛いね、いいこだねって頭を撫でてくれる、私がどんな私でも無条件で愛してくれる男の人が欲しかった。間違った時には叱ってくれて、知らないことを教えてくれて、その人に全部任せたら安心みたいな存在が欲しかった。
だってなんだか、よその女の子には、そういう人が一人、いるみたい。
(もちろん実父であっても子供を愛せない人もたくさんいるので、こんな欲求はただの甘えでしかないのは分かっているのですが)


結局私が今結婚しているのは年下の夫であり、まあ、そういうことをある意味乗り越えられて精神的に自立したのかなと思わなくもないのですが、やっぱり、とにかく誰かに可愛がってほしいなあって思うことは未だにあります。



で、これが、じゃあお父さんじゃなくてご主人様だったらいいんじゃないのって思うことがあって。

つまり、SM的な主従関係で、擬似的父娘を体験できるんじゃないかなあっていうことなんですけど、これ、どうですかしらねえ。

自分の中にあるM性みたいなものが、父性愛に密接に関係しているのをすごく感じるんですね。
心から尊敬できる男性に、支配されたい。縛られたいというのは何もしなくていい赦しが欲しいということで、叱って、ぶって、躾けられて、最後にはよくできた、いい子だねと頭を撫でられたい。
これは幼少時の、父娘関係のやりなおしをしたいという欲求なのではないかと思わざるを得ないのです。

でも実際はSMといったって男女の関係でしかないので、絶対ではないし、裏切りも浮気もあるでしょうから、まあ、自分の望むとおりのものは得られないだろうと分かっているんですよね。大体、今の自分は我が強すぎてどっぷりSMでご主人様にお仕えするみたいな犠牲的性愛はまっとうできないだろうとも思うし。なのでSMとかはしないんですけども。




自分の中のこの飢えは、お付き合いするのが一番難しい部分です。

もう三十路も半ばになろうというのにまだ、小さい子供が根っこのところにいるみたいなんですね。

私は大抵のことに根性が据わっている自信がありますが、こと「お父さん」のことになると未だに心がざわめいてしまうのです。
実父に会いたかったとか養父に愛されたかったとかそういうことではなくて、いや、そういうことなのかしら?

今でもたまに、どうしようもなく、ただ愛されたいなと思います。
私は根本のところで自信がなくて自分を可愛いとも思えないし、愛されるべき存在とも思えないし、こちらから過剰に愛さなくては愛は貰えないものだと思っていたりするんだけど、こういうの、幼少のアレコレなんだろうなーって客観的に思ったりもして、まあなんちゅーかあれだよね、仕事で成功すれば自信がついて自立できるんじゃないかしらね!!


このどうしようもない飢餓が、創作意欲に繋がっているんだろうなとも思います。


うーん、ちょっとお寒い話でありましたが、なんか、年末いろいろ考えたのでしるしておく。


この件に関しては、まだ答えは出ません。
いつか過ぎ去る日が来るかもしれないし、来ないで、一生飢えつづけるのも作家としては一興かもしれないです。








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